寺尾に行く

はじめまして

「昨日までなかった建物がいきなり現れた!」
「なんだあの小屋は」
「お店ができたらしいぞ」
 寺尾がざわついた5月下旬。横には永野川が流れる広大な芝生の広場、地元では『水辺の楽校』と呼ばれている。天気が良い日にはグランドゴルフの練習をしていたり、地元の方が散歩の休憩をしたり、時にはドクターヘリコプターの着陸地点。その一角に、前例も大々的な告知もなく建った木造の小屋があります。

 興味があるのか、不審だからか、車で通過する人は、小屋の前だけ速度を下げて見て行ったり、歩く人は窓をのぞき込んだり、「ここは何をする場所なの?」と声をかけてくれる方もいます。

寺尾の孫になりたい

 寺尾の朝は早い。除草作業は暑くなる前の朝6時から。6時にはダンプが走り始めるから、朝の散歩は5時半からです。寺尾の朝は夏でも涼しく、うぐいすの鳴き声が山に反響し、川は静かに流れ、日の光が反射してキラキラと水面を光らせます。

 電気も水もガスも通っていない小屋に毎日通い、一輪挿しにさす花を探し、「今日は何をしようかな」から始まる1日。予定はない、しかし何もなかった日はない。歩けば新たな出会いがあり、小屋にいれば近所の方が、散歩がてらに寄ってくれます。寺尾の皆さんの優しさに救われた今年の夏。「1人じゃ寂しいでしょ?」とお話しに来てくれる方、「暑いのに大変ね」と差し入れを持って来てくれる方。毎日、小屋に置いてある鉢植えに水を上げに来てくれたり、野菜が育ちすぎてと持ってきてくれたり、今年の暑い夏を乗り越えることができたのは、鍋山の方々から頂いた冷たい飲み物やアイス、手作りの梅干し、夏野菜、そして孫のように可愛がってくださった、皆さんの優しさのおかげです。

何かはじめるには寺尾が良い

 目の前には水田、後ろには永野川、左を見ればぞう山を独占できる小屋。この小屋にいると、さまざまなお誘いが舞い込んできます。
「今度メッシュはりをやるけど来るか?」
「これからグランドゴルフやるよ」
「毎週火木土曜日は、ゲートボールをやってるよ」
「今から田中さん家に行くけど、一緒にどう?」
「お囃子の人数が足りないのだけれど・・・」

なんと活動的な寺尾の皆さん。寺尾は止まらない、いつも動いている、その流れに身を任せてみると、いろんな経験ができます。何か初めてのことをする時は、「できる・できない、知っている・知らない」ではなく、「興味があるか・楽しそうか・面白そうか」ただそれだけで良いのかもしれません。

 皆さんが様々な場に連れ出してくれるおかげで、人との輪は広がり、小屋と島田という存在を知ってもらうことができました。寺尾の人と人との繋がりは広くて強い。信頼関係が築かれているから、新たな場に行っても「あぁ、あの人の紹介ね」とすぐに受け入れてもらえました。温厚な寺尾の皆さんとの暮らし。毎日が楽しく、たくさんの経験をさせて頂きました。寺尾から家までの帰り道は、いつも穏やかな気持ちです。

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