私の地元になっていくこの街で。

古き良きもの、古き良き街。

東京の大学を出た後、宇都宮の百貨店に長く勤めました。婦人服・食品・食器などの売場から、クレーム対応や法人相手の仕事など、いろいろな経験をしましたね。いつかは自分のお店を持ちたい。もともとはそんな思いもありましたから、結婚を機に妻の実家のあんこ屋さんを手伝うようになった時にも、少し経営の勉強をしてみようと思い、抵抗はありませんでした。5~6年ほど経って、いよいよ自分のお店を持とうと考えた時、妻の地元である栃木市を選んだのは、彼女は体が弱かったりして地元には両親もいるし、大切な友人もいる。栃木を離れた友人も店で再会したりと安心して暮らせると思ったから。いいえ、実はそれだけではありません。趣味の古道具で商売をはじめるにあたって、やっぱりこの伝統的な街並みは魅力だったんです。
いざ、お店をはじめようと思いたったものの、貸店舗もほとんどなく何から始めればいいかわからない。伝統建築が立ち並び、若者がお店を出し始めていた嘉右衛門町エリアや巴波川沿いを一軒一軒ノックして回っていきました。そのエリアの建物を借りてイベントを開催していたのが、マチナカプロジェクトの大波さん。イベントのために、建物を掃除するメンバーを募集していたので、伝統建築見たさにすかさず応募しました。地元の物産品である箒を持って行ったところ、さすがは古いもの好き同志。「それ、いいですね」と大波さんも興味を示してくれて、すっかり意気投合できました。使われていない伝統建築と、それを活用したい人をつなげることで資源の有効活用と街の活性化を目指す大波さん。彼の協力もあって、その後いい物件に出会えたんです。

工事をはじめると、街の視線を感じた

そこは、街の中心に位置する大通り。栃木市の中でも珍しい、5つの蔵が並ぶうちのひとつで、もともとは酒屋さんの見世蔵(店舗や事務所)でした。40年ぶりに貸しに出ていたというので、運命を感じる出会いでしたね。横幅がない分、縦に長いこの物件。リノベーションするにあたっても大波さんにはお世話になりました。蔵専門の大工さんを紹介してもらったり、市の助成金についても教えてくれたお蔭で、改装費も家賃も助かりました。いざ工事をはじめると、やはり街の中心地。どんなお店ができるのかと、噂はあっという間に広がっていったようです。
オープンして1年半。お客様の半分くらいは観光客の方でしょうか。あとは近郊の方。タウン誌に取り上げられると一定数のお客様が来てくださって、リピーターになってくれる方も多いですね。このあたりは店主同志も程よい距離感でつながっているので、5~6年前に開業していた嘉右衛門町の皆さんもお客様をうちに紹介してくれるんです。もちろん、それはお互い様。商品のラインナップが違うので競合しないですし、趣味も近いので、公私ともにフォローし合う生活が、ここにはありますね。蔵をリノベーションする時に手伝っていただいた大工さんに言われた「今度こういうお店出す人がいたら、手伝ってあげなよ」という一言は忘れられません。

店のお客様は、街のお客様でもあるんだ。

人とのつながりは、同業者だけではありません。お祭りなどの行事に参加したり、近所の人とも自然と馴染んでいき、その中でこの地域ならではの文化的な意識の高さにも気づきました。伝統を守りたい。大波さんを筆頭に、そんな思いを持つ多くの人から刺激を受けて、私にも地元意識みたいなものが芽生え始めています。お店に来てくれた観光客の方には、この街の面白さを深く知っていただいて、また来たいと思っていただけるように、僕らなりの目線で一生懸命、観光案内もしています。
まずは、お店を永く続けられるようにすることが目標。たくさんのお客様に来ていただけた結果、街の活性化にもつなげられたら嬉しいですね。

MORO Craft(モロクラフト)
日用雑貨・古道具の販売
住所:栃木市倭町10-3
電話:0282-21-8838
営業時間:11:00-19:00
定休日:水曜日と毎月3日
URL:http://morocraft.exblog.jp/

ページトップへ