いちごと、農業と、栃木市の可能性を育てる。

農業というビジネスがおもしろい。

「谷中農園」がメインでつくっているのは、栃木ブランドであるイチゴの「とちおとめ」です。
実家が農業をはじめたのは、祖父の代からでした。経営規模もそれなりにある農家なので、中学生のころには漠然と後継者になるものだと腹をくくっていましたね。
東京の農業大学で取り組んだイチゴの研究は、今でも農家として自分の強みになっています。
業者さんや県やJAの職員さんから肥料の説明を受ける時にも、「これを入れると甘くなります」という曖昧な話で終わらせず、成分など専門的な話をして、理解した上で使うからトラブルが起きた時にも原因を追究しやすいんです。
ただし、仕事として農家を営むことと研究はまったくの別物。研究は数株だけを対象としますが、実際は広大な農地をすべて見た上で、ベストな栽培方法を探っていかなくてはいけません。
もちろん、毎年変わる気候への対応も欠かせませんし、決して楽な仕事ではありませんが、自然を相手に植物を育てることって、楽しいんです。
特にイチゴは、奥が深い。どれだけ改善をくり返しても、ゴールは永遠に訪れないでしょうね。
そして、何より大事なことは、ビジネスとして成立させること。どれだけ美味しいイチゴができても、コストがかかりすぎて赤字を出したらビジネスとしては失敗ですから。経営を持続させることが本物のプロだと思いますし、持続させることで後継者や新規参入が増え産地の継続に繋がると思っています。

いちご×カメラ=新しい価値

これまで、閉鎖的なイメージがあった農業という職業ですが、最近になってメディアでも取り上げられることが増え、異業種とのコラボレーションなど、新たな魅力が発掘されはじめています。
料理やスイーツへの応用はもちろん、体験型農業などの観光コンテンツとしての注目も高まっていますよね。
そして僕が今取り組んでいるのは、アートとしての農業の発信。苗を作るところから出荷されるまで、「とちおとめ」の一生をプロの写真家に撮ってもらい、一冊の写真集をつくっているんです。
これは、毎日の農作業とコラボする異業種の方からの言葉がヒントになり“ビジュアル”というイチゴの新たな魅力を実感していたことから発想できたひとつのアイデアですが、農業の深い魅力はまだまだ眠っているはず。
異業種とのオープンな関係性の中で、新たな農業のあり方を探っていけたらと思っています。魅力の発掘と発信が農業のイメージアップにも繋がり、新たなビジネスチャンスにもなると思う。
その意味でも、栃木市は絶好のロケーションですね。今回の写真家の方も住まいは東京ですが、前日に連絡を入れれば「明日は午前中なら空いてるよ」と、気軽に訪れてもらえる距離感。逆に東京から近すぎて、住宅地の中に農地があるような郊外だと、田園風景といった農業本来の魅力を十分に感じることができません。
栃木市のバランスは絶妙なんです。美しい田園風景を堪能しながら、東京はもちろん、車で数分の距離にスーパーやコンビニといった生活の基盤もある。生活と両立しやすいからこそ、仕事にも思い切り打ちこめる環境です。

集え!栃木の若い衆。

ところで、今日の取材場所は居酒屋です(笑)。
実はここ、友人がマスターをやっているのですが、はじめて彼と会った時、新たなプロジェクトが生まれました。
それは、今年で7回目を迎えた「栃木どろんこバレー大会」。もともとマスターが構想を持っていたものの、農家の知り合いがいなかったところに、僕が現れた。するとその場で話がまとまり、すぐに動き出したんです。
今年は参加者も数百人を超えるほど、地元では注目されるイベントに成長しました。
そして、ここで出会った人同士がプライベートやビジネスでつながって、新しいものを生み出すきっかけになっています。
遊びから入っているので、仕事の話をしても堅くなりすぎたり、腹を探り合うこともありません。
純粋に何かをいっしょにつくりたいという思いだけでできるんです。今考えているのは、インバウンド型のビジネス。
例えば、イチゴ×スイーツ店×飲食店×観光施設をつなぎ合わせて、パックツアーにして売り出してみたらどうか、などと考えています。
こういったプロジェクトには、もちろん地域の活性化が最終的な目的としてあります。だけど、同世代の人が異業種間でつながって、同じ目標に向かってアイデアを出しあったり、熱く語りあったりしながら、お酒を飲んだりしている。今というプロセスそのものが、すでに楽しいんですよね。

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